先日、「交通事故ルール、今こそ指導のタイミング」で、7歳の交通事故死傷者数が成人の約2.5倍であること等をお伝えしました。

ここでお伝えした数字は平成27年までのデータを前提としていましたが、平成30年3月22日、警察庁が、平成29年までのデータを前提に小1の交通事故死傷者数を発表しています。

やはり、小1の交通事故死傷者数が突出しています。

警察庁発表のポイントは以下のとおりです。

〇小1の歩行者の死者数は小6の8

〇歩行中の死傷者について
・月別では、47月と1011月が多い。
・時間帯別では、15時台~17時台と7時台が多い
・通行目的別では、登下校中が多い。
・衝突地点別では、交差点内が多い。
・事故類型別では、横断中が最も多い。
・そのうち「横断歩道」が約4割にも上る。

実は、私も小1になりたての5月、自転車で交差点に進入した際、自動車と激突して、救急車で運ばれた苦い経験があります。その傷跡は事故から40年経過した今も消えていません。

そんな苦い経験を踏まえながら、以下、警察庁交通局が作成した平成30年3月22日付「児童・生徒の交通事故」からデータを引用してみてみましょう。

 

小1の歩行者の死者数は小6の8倍

以下は、小学生の状態別死者数です。
小1の歩行者の死者数(最上段の赤く囲まれた青部分)は32人で、小6の約8倍です。

 

10万人あたりでも、7歳の死者数は0.56人(赤部分)と突出しています。

次に負傷者も加えた、小学生の状態別死傷者数も見てみましょう。
小1の歩行者の死傷者数(最上段の青く囲まれた部分)は7461人で、小6の約3倍です。
なお、自転車に乗っているときの死傷者数(茶部分)は、高学年の方が多くなります。

人口10万人あたりでも、7歳の死傷者数(赤部分)は133.8人と全年代でも最多です。


歩行中の死傷者数は、4~7月と10・11月、7時台と15時~17時台が多い

以下は、小学生の歩行中に限定した、月別死傷者数です。
4~7月と10・11月の死傷者数(いずれも赤で囲まれた部分)が多いことが分かります。
小学校に通学する期間と重なります。登下校中の事故が多いのでしょうか。

そこで、小学生の歩行中に限定した、時間帯別死傷者数を見てみましょう。
登下校の時間帯である7時台と15時~17時台(いずれも赤で囲まれた部分)が多いことが分かります。
死傷者数も低学年ほど多くなります。

小学生の歩行中に限定した、通行目的別死傷者数をみると、やはり登下校中の死傷者(赤で囲まれた部分)が多いことが分かります。


衝突地点別では交差点内が多い。

交通事故の場所はどこが多いでしょうか。
以下は、小学生の歩行中に限定した、衝突地点別死傷者数です。
交差点内(赤で囲まれた部分)が多く、全体の4割強です。
先日お伝えした「あんぜんmyマップ」でも、交差点付近の事故が目立ちました。


事故類型別では、横断中が最多
うち「横断歩道」での事故が約4割

交通事故はどんなとき(対面で通行しているとき、横断中、路上で遊んでいるとき等)に起きているでしょうか。
事故類型別でみると、横断中(赤点線で囲まれた部分)が最多であることが分かります。
横断中のなかでも横断歩道での事故(赤実線で囲まれた部分)が横断中の約4割(39.1%)を占めます。
横断歩道でも安心できないということですね。


子どもに具体的なデータに基づく交通事故教育を

冒頭で触れたポイントを再掲します。
いずれも、データによる裏付けがあります。

〇小1の歩行者の死者数は小6の8

〇歩行中の死傷者について
・月別では、47月と1011月が多い。
・時間帯別では、15時台~17時台と7時台が多い
・通行目的別では、登下校中が多い。
・衝突地点別では、交差点内が多い。
・事故類型別では、横断中が最も多い。
・そのうち「横断歩道」が約4割にも上る。

横断歩道のあるところを横断すべきなのですが、その横断歩道で事故が多発していることが、データより明らかになりました。
横断歩道での危険やこれを避ける術まで意識して教えることが必要です。

警察庁は、子ども、特に小学1・2年生への「横断の仕方」について、以下を教えるよう要点を挙げています。

〇横断歩道や信号機がある交差点近くがあるときは、そこまで行って横断すること。

〇横断する前に、青信号や横断歩道でも「立ち止まる」「右左をよくみる」「車が止まっているのを確認する」こと。

〇横断中は「右左をよく見る」こと。

〇教育上の注意点として
 ・新1年生には繰り返し教える。
 ・「子どもの目線」で危険な交差点等を確認して教える。
 ・車両(特にトラック等)から子どもは見えにくくなることを教える。

ここで挙げたデータは、交通事故における死傷者数のみならず、年齢、場所、時期、時間、事故態様等まで明らかにしています。

これらデータを参考にすれば、いつ、どこで、どのような事故が発生するのか、これを避けるためにどうすればよいか、それをどう教えるか、教える側もより意識を高めることができるでしょう。

幼稚園教育要領・第3章・第1・2は、指導計画の作成に当たり、特に留意する事項として、以下を挙げています。保育所保育指針にも同趣旨の記載があります。

(1) 安全に関する指導に当たっては、・・中略・・危険な場所や事物などが分かり、安全についての理解を深めようとすること。また、交通安全の習慣を身につけようとするとともに、災害などの緊急時に適切な行動をとれるようにするための訓練なども行うようにすること。

小1で交通事故に遭わないよう、予め「交通安全の習慣を身につけ」させるにあたり、より高い意識で指導すべく、これらのデータを活用されてはいかがでしょうか。