昨年12月、保育園で壁に取り付けられた消火器が落下し男児に(5)に当たりました。男児は左足の甲を骨折する重傷とのことです。

写真はイメージです
 

 事故の状況

 消火器の重さは約5㎏で、床から約1.4mの高さにフックで取り付けられていました。
保育園の室内で、男児の着替えを手伝っていた保育士が立ち上がったところ、その消火器に保育士の頭が接触して落下し、男児に当たってしまったとのことです。
 
 

消火器の取り付け方に基準は?

 高さ1.4mの高さにフックで取り付けられてたことが原因の一つになってしまいましたが、そもそも、消火器の取り付け方には基準があるのでしょうか。

高さ

まず、高さですが、床から高さ1.5m以下の箇所に取り付けます(消防法施行規則第9条)。 
 
【消防法施行規則】
第9条(消火器具に関する基準の細目) 
消火器具の設置及び維持に関する技術上の基準の細目は、次のとおりとする。
一 消火器具は、床面からの高さが1.5メートル以下の箇所に設けること。
二 ・・・省略・・・
三 消火器には、地震による震動等による転倒を防止するための適当な措置を講 
 じること。

  ・・・省略・・・
 

 取り付け方

次に、取り付け方ですが、地震による震動等による転倒を防止するための適当な措置を講じます(前述の消防法施行規則第9条)。
 
さらに、容易に持ち出すことができる箇所に設置します。(消防法施行令第10条)。
 
【消防法施行令】
第10条(消火器具に関する基準)
1 ・・・省略・・・

2 前項に規定するもののほか、消火器具の設置及び維持に関する技術上の基準  
 は、 次のとおりとする。

一 ・・・省略・・・
二 消火器具は、通行又は避難に支障がなく、かつ使用に際して容易に持ち出すこと
 ができる箇所に設置すること。
 
とすると、転倒しないよう、かつ持ち出しやすくするため、床から高さ1.4mにフックで取り付けることも、基準に反しているとはいえないでしょう。
 
 

本件で違法性を問われる「過失」があるとしたら

 本件で過失があるとしたら、保育士が周辺への注意を怠って立ち上がり、消火器を落下させたことでしょう。
 
ただ、仮に、保育士ではなく、園児が消火器に触れて落下させたときには、その取り付け方(1.4mという園児の手の届く高さに、触れてただけで落下するような取り付け方)に過失が認められるでしょう。
 
いずれにしても、園は法的責任を問われてしまいます。
 
事故の園では、消火器を床に置いて、専用バンドで固定することにしたとのことです。

これなら、落下の危険もないし、消火器の転倒による事故も防げそうです。
 
みなさまの園はいかがですか?
消火器はどの高さに取り付けられているか、簡単に外れるようになっていないか、職員の方にはどのような注意喚起をされているか、改めて点検されてはいかがでしょうか。