厚生労働省は、児童福祉法の関連省令を改正する方針です。
同改正について、意見募集がなされています。
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495170281&Mode=0

改正の概要は、以下の規定を新設することです。

〇都道府県知事が、
〇ある保育士について欠格事由に該当するおそれがある事案を把握した場合に、
〇その保育士の本籍地の市区町村に対して犯歴情報の照会を行うこと等により、
〇保育士としての欠格事由に該当するかどうかを確認する。

これにより、都道府県は保育士の欠格事由(児童福祉法第18条の5)を積極的に把握し、保育士としての登録を取り消すことができます(同法第18条の19)。

児童福祉法第18条の5

次の各号のいずれかに該当する者は、保育士となることができない。
一 ・・・省略・・・
二 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して二年を経過しない者
三 この法律の規定その他児童の福祉に関する法律の規定であつて政令で定めるものにより、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して二年を経過しない者
四 ・・・省略・・・

例えば、
〇ある保育所の保育士が逮捕された際、都道府県は保育所からの報告等でその事実を把握します。
〇これをきっかけに、都道府県は、その保育士の本籍地に犯歴情報を確認します。
〇これが欠格事由に該当するなら、保育士登録を取り消すことになります。

過去に実刑判決を受けた保育士が、登録を取り消されないまま神奈川県内の保育所に勤務し、同保育所の通う子どもへの傷害致死罪等で起訴されたということがあり、再発防止が求められていました。

実刑判決を受ければ、児童福祉法第18条の5の2号の「禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して二年を経過しない者」にあたりますから、保育士としての登録は取り消されていたはずです(同法第18条の19)。
しかし、この保育士は、登録が取り消されないまま、新たな保育所にて勤務を始めていたのです。

このことが、今回の改正の背景にあることは、想像に難くありません。

 

なお、幼稚園を含めた教員についても同様の動きがあります。

すなわち、文部科学省は、平成30年度から、都道府県教育委員会で運営する「教員免許管理システム」を大幅に改善する方針を決めました。
関連経費として4億8000万円を予算の概算要求に盛り込んでいます。

その目的は、子どもへのわいせつ問題を起こした教員の処分情報の共有し、こうした問題で免職や停職になった事実を伏せて教員に再雇用されるのを防ぐことにあります。

 

いずれも、子どもの安全の見地からは歓迎すべき動きといえます。