先日、岡山県倉敷市の保育園に伺い、「子ども防災ネットワークおかやま」の一員である一般社団法人チカクさんが主催する防災体験プログラムの出前授業を見学&体験しました。子どもたちへの教育の可能性を身をもって経験できた非常に有意義な時間でした。
「子ども防災ネットワークおかやま」による出前授業
「子ども防災ネットワークおかやま」は、2011年3月11日に発生した東日本大震災後、自然災害が少ないといわれる岡山県においても、子どもたちが自然の脅威に直面したときに必要な「自らを守るための智恵」を将来にわたって伝える仕組みをつくるべく、同年10月に活動をはじめました。
その一員である一般社団法人チカクさんは、防災研究の第一人者でいらっしゃる国崎信江先生監修の防災活動プログラムを、主に保育園や幼稚園に対し、出前授業として提供しています。
今回、私よりお願いしたところ、一般社団法人チカクさんと出前授業先の保育園さんよりご快諾いただき、当日の出前授業をお手伝いするスタッフとして、見学&体験に伺うことができました。
詳細は、こちらで紹介されていますので、ご覧ください。
ネクタイの男が私です。
絵本を用いたお話しから、卵の殻踏み、ジャッキによる救出作業の体験、身近な道具からの包帯の製作等、経験豊富な指導員の方のお力で、子どもたちを飽きさせることなく引きつけ、防災意識を高めていきます。
出前授業は地域全体の防災意識を高めることに
この出前授業は子どもたちのみならず、地域全体の防災意識を高めることも視野にあります。
子どもたちは、保護者の方に対し、幼稚園での出来事として今回の出前授業の内容を身振り手振りで伝えます。これにより、保護者の方の防災意識も高まります。
また、子どもたちは出前授業での体験を礎に成長し、次世代に伝えます。これにより、次世代にも防災意識が引き継がれていきます。
一見、出前授業は、子どもたちを対象にしてはいますが、実は、子どもたちを発信源に地域全体の防災意識を高めるものといえるのです。
先ほどご紹介した記事においても、「帰ったらおうちの人にもつたえてあげるんだよ!」とありますね。
子どもたちも防災の主人公に
裁判所は、幼稚園の活動において子どもに被害が生じた場合、「子どもは未熟な存在である。その安全確保ため、幼稚園には一般人に比し高度の注意義務が求められる。」ことを前提に、幼稚園の注意義務の内容やその義務違反を厳しく検討し、最終的にはその法的責任を認めることが多いといえます。
ここでは、子どもたちはあくまでも守られるべき、いわば受動的な存在です。
ですが、この出前授業では、防災意識を高めることで自分の命を守ることができる能動的な存在として扱われます(もちろん、守られるべき存在であることは当然の前提ですから、その意識を忘れてはなりません。)。
子どもたちは、出前授業の内容をどんどん吸収し、最後には「おうちでみんなに伝えるよ。」と笑顔でした。
保護者に伝え、次世代に伝え。子どもたちが防災の主人公になる瞬間です。
まとめ
以前お伝えのとおり、 幼稚園教育要領は、指導内容の一つとして、「危険な場所,危険な遊び方,災害時などの行動の仕方が分かり,安全に気を付けて行動する。」ことを定めています。
出前授業の内容は、この指導内容を実現するものですが、同時に地域や次世代の防災意識を高めるものでもありました。
今さらながら、子どもたちへの教育の持つ大いなる可能性を身をもって感じ取ることができました。
編集後記
厚労省が、平成26年の保育所・保育施設での事故について報告しています。
その内容について、実際に起きた裁判事例もあわせてお伝えしたいと考えています。