平成30年4月24日、消費者庁の消費者安全調査委員会より、「教育・保育施設におけるプール活動・水遊びに関する実態調査」が公表されました。

プール事故を予防するポイントが5つ示されています。

1 監視者が監視に専念し、監視体制に空白が生じないようにすること

2 監視のポイントや事故の未然防止に関する教育

3 緊急事態への備え及び対応

4 事故やヒヤリハット情報の共有、蓄積

5 ガイドライン及び通知の周知徹底


その背景や法的な意味は、「プール活動の季節が目前 事故を予防するポイントを再確認」にて、ポイントの1とともに説明しました。

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今回は、最後のポイント「5 ガイドライン及び通知の周知徹底」についてです。

幼稚園等は、関係行政機関から発出された通知やガイドラインをどれくらい把握しているか?

通知やガイドラインを理解し、活用できているか?

園の種別での違いはあるか?

実態調査を確認することで、通知やガイドラインについて、自園の周知や活用を再確認できます。

 

実態調査の結果(ガイドライン及び通知の周知徹底)

実態調査は、関係行政機関から発出された表5のガイドライン及び通知についてなされました。

【参考】
1「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドラインについて」
  「事故発生時の対応」編
  「事故防止のための取り組み」編

2「幼保連携型認定こども園においてプール活動・水遊びを行う場合の事故防止について

4「保育所、地域型保育事業及び認可外保育施設においてプール活動・水遊びを行う場合の事故防止について

関係行政機関は、これらのガイドライン及び通知の内容を漏れなく、分かりやすく伝え、幼稚園等はこれらを活用することが期待されます。

では、そもそも、どれくらいの幼稚園等が、前1の「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドラインについて」の存在を把握できているのでしょうか。

 

85.9% ガイドラインの存在は把握している

園長先生に前1の「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドラインについて」の存在を把握しているか尋ねたところ、全体の85.9の園が「把握している」(緑)との回答でした。
幼稚園が80.4と比較的低率であることは気になるところです。

 

 

 

85.5% 理解度も全体では高い

さらに進んで、ガイドラインの内容の理解度を尋ねたところ、「存在を把握している」と回答した園のうち、「内容を十分に理解した」(緑 14.9%)又は「内容をある程度理解した」(青 69.6%)と回答した園を合計すると85.5とこれも高率でした。

 

24.6% ガイドラインを把握していない私立幼稚園も

ただし、ガイドラインの存在の把握、理解度を園種別で分類すると、差があります。

以下によると、私立幼稚園のうちガイドラインの存在を把握していない割合は24.6と他の園種に比べて高率でした。
また、ガイドラインの理解度(緑)も、他の園種と比較すると低めです。

 

24.6% 通知は把握している

次に、前2~4の通知についてみてみましょう。

園長先生に前2~4の通知を受け取ったか尋ねたところ、全体の82.4の園が「受け取ってた」(緑)と回答しました。

 

 

90.5 通知の内容の理解度も高いが・・

さらに進んで、通知の内容の理解度を尋ねたところ、「通知を受け取った」と回答した園のうち、「内容を十分に理解した」(緑 25.7%)又は「内容をある程度理解した」(青 64.8%)と回答した園を合計が90.5とこれも高率でした。

さらに「内容をある程度理解した」を「内容を十分に理解した」へ高めることが望まれます。

では、これらのガイドライン及び通知は、幼稚園等が安全体制を改善することに役立っているのでしょうか。

 

実態調査の結果(ガイドライン及び通知を受けての改善の検討等)

園長先生に対して、ガイドライン及び通知を受けて、事故防止及び事故発生時の対応について改善を検討・実施したか尋ねたところ、「改善を検討し、実行した」(緑 22.2%)「改善を検討し、現在、実行中」(青 39.9%)と回答した園の合計が62.1に上りました。

ガイドライン及び通知を安全体制の整備に積極的に役立てている園が多いようです。

 


以下は、「改善を検討し、実行した」、「改善を検討し、現在実行中」と回答した園が実際に改善に取り組んだ内容の上位3つです。

73.3% プール活動・水遊びの監視者は監視に専念する

63.9% 時間的余裕をもってプール活動を行う

57.2% 十分な監視体制の確保ができない場合は、プール活動の中止も選択肢とする

 

1位「プール活動・水遊びの監視者は監視に専念する」と3位「十分な監視体制の確保ができない場合は、プール活動の中止も選択肢とする」は監視体制の整備に関するものです。

監視体制の整備の重要性は、前述のガイドライン及び通知において特に強調されている事項です。
同ガイドライン及び通知はもちろん、監視体制の整備について記した「プール活動の季節が目前 事故を予防するポイントを再確認」も参考にしてみてください。

 

まとめ

実態調査の結果、ガイドライン及び通知が契機となり、プール活動・水遊びの事故防止に向けた安全の整備がなされつつあることが明らかになりました。

その一方で、ガイドライン又は通知の存在を把握していない、その理解が不十分な幼稚園等があることが懸念されます。

関係行政機関は、ガイドライン及び通知の内容を分かりやすく、漏れなく伝える工夫が重要です。

その一方で、幼稚園等においても、ガイドライン及び通知に基づき現場職員が意見交換することはもちろん、ヒヤリハットを共有する場を設けることが期待されます。

平成30年4月24日に公表された「教育・保育施設におけるプール活動・水遊びに関する実態調査」は、プール活動・水遊びにおける安全について、以下の5つのポイントに沿って示唆に富む内容を示しました。

1 監視者が監視に専念し、監視体制に空白が生じないようにすること

2 監視のポイントや事故の未然防止に関する教育

3 緊急事態への備え及び対応

4 事故やヒヤリハット情報の共有、蓄積

5 ガイドライン及び通知の周知徹底

プール活動・水遊びの季節もたけなわです。
さらに楽しく、安全なプール活動・水遊びの場を提供するために、これらを参考にすることは必須といえます。